今回は英語の”Boo”という擬音語について、日本語の擬音語「ブー」と比較をしながら紹介していこうと思います。

日本語のブーと英語のBoo、どちらも擬音語だけど何が違うのか?

「ブー!」という音を聞いて、もしくは字を見て、皆様は一番初めに何を想像しますか?


・豚の鳴き声
・クイズ番組の不正解を表す音
・ブーイングの音
・文句 (ぶーたれる←AIによると現在は死語らしいです)
・マンガで鼻血が出る時の効果音

ピッグカフェのマイクロブタの写真
(ピッグカフェで出会ったマイクロブタちゃん)

私の場合、豚のブーブーという声をイメージしてしまいますが、英語でブー(Boo)という音は子供が人を驚かせる時によく使う表現だそうです。

(英語でもブーイングの時に使われるようですが、ブーーーと音を長く伸ばす必要があるそうです。)

英語のBooは日本語のいないいないばぁのばぁ部分に当たりますね。

Boo <<擬音語>> 間(間投詞)
1ブー:客席から舞台などに発する非難の声
ばあ, わあ:脅しに使う叫び声

『ユースプログレッシブ英和中辞典』(小学館)より引用

映画『モンスターズインク』に登場する女の子の名前

ウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)とピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)が手掛けた映画作品『モンスターズインク』(原題:Monsters, Inc.)を観たことがある方、映画に登場する人間の女の子の名前を覚えていますか?

実は、作中では女の子の正式な名前は出てこなくて、彼女が話す赤ちゃん言葉の一つであるBooが名前として使われています。

オリジナルである英語版と同様に、日本語吹き替え版でもブーが名前になっていますね。

“Boo!”と言いながらマイクを驚かす可愛らしい姿が印象的です。

個人的には、サリーのことをKitty(英語で子猫の意味、日本語版では「にゃんこ」)と呼んでいるところも可愛くて好きです。

『シンデレラ』に出てくる呪文、ビビディ・バビディ・ブー

シンデレラのかぼちゃとネズミのイラスト

同じくウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)の作品である『シンデレラ』(原題 : Cinderella)ではフェアリー・ゴッドマザーがシンデレラに魔法をかける際に呪文を使いますよね。

はい、あの有名な呪文「ビビディ・バビディ・ブー」(英語: Bibbidi-Bobbidi-Boo)にもBooという単語が入っていますが、こちらのBooは特に意味は無いそうです。 

音だけを表す無意味な言葉を英語でgibberishと言います。ビビディ・バビディ・ブーという言葉には意味が無いので、gibberishの良い例ですね。

(ちなみに、gibberishは日本語だとデタラメ・ちんぷんかんぷん・たわ言などに訳されるようです。)


また、漫画やアニメの『ドラゴンボールシリーズ』に登場する魔人ブウについては、英語表記だとMajin Buuなので、こちらも人を驚かすという意味のBooではありませんね。

※(愛称としてのBooについて)※
辞書には記載がありませんが、アメリカの一部では人の愛称として(HoneyやDearのように)Booが使われることもあるようです。(うーーん、いくら愛称でも私だったらBooと呼ばれるのはちょっと…遠慮したいですね。)

信じられなかったので、念の為アメリカ人夫に確認してみましたが、愛称としてのBooは一部のアフリカ系アメリカ人が使っているイメージがあるそうで、一般的に使われてはいないみたいです。

Peek-a-boo!は、英語で赤ちゃんをあやす時に使うフレーズ

余談が長くなってしまいましたが、赤ちゃんをあやす時に使われるフレーズいないいないばぁは、英語ではPeek-a-boo(ピーカブー)と言います。

小学生以下のお子さんがいる方や、NHK教育番組をよく観ている方の中には、カタカナのピーカブーを目にして、NHKの『いないいないばあっ!』で放送されている「ピカピカブ~!」を思い出した方もいるのではないでしょうか。

まさに番組名にぴったりの曲ですし、小さいお子さんにとってはいないいないばぁよりもピカピカブーの方が発音しやすくて歌いやすそうですよね。

日本と微妙にやり方が違うアメリカ版のいないいないばぁ

ところで、日本のいないいないばぁと英語のPeek-a-booは、赤ちゃんや小さな子供を相手に使う点は共通していても、そのやり方が微妙に異なっているそうです。

日本式

「いないいない」と言う時に、顔を両手で覆って隠した後、

「ばぁ」と言うタイミングで両手を広げて顔を見せる


アメリカ式

無言のまま両手で顔を覆って隠した後に、Peek-a-booを言うタイミングで両手を広げて顔を見せる


もしくは、全身隠れている状態からPeek-a-booまたはBoo! と言いながら姿を現す


(英語圏の国はおそらくアメリカと同じだと思われますが、確証がないため、ここではアメリカとだけ記載しています。)

日本式のいないいないばぁに慣れている私にとっては、無言のまま両手で顔を覆うところに違和感が……。

無言の状態からいきなりPeek-a-boo! と来るアメリカ式は、さらにビックリしそうな感じですよね。

では英語のPeek-a-booのpeekは何を意味するのでしょうか?

英単語peekはどんな意味?

peek (同音語 peak, pique) ((略式)) 動詞(自動詞)
1 <人が>ちらっと見る, (…を)そっとのぞく((at…)), (穴などから)盗み見る ((in, out/through…))
2 <物などが>(穴などから)ちらりと見える[のぞく]((out/over…, through…))

『ユースプログレッシブ英和中辞典』(小学館)より引用

(※peekの同音語であるpeak、piqueは、発音がpeekと全く同じですが、単語が持つ意味が異なっており、 同音異義語とも呼ばれます。)

英単語のpeekは、日本語のいないいないの部分とは意味が全然違いますね。

両手で顔を隠しながらも、実は指の隙間からチラリと驚かそうとしている対象をのぞいているということなのかもしれません。(この文面だけ読むと、ちょっと不気味ですね……)

なぜ英語ではPeek-a-booなのか夫に聞いてみた

私はアメリカ人の夫によく英語について質問をするのですが、今回のトピックについて聞いてみたところ、

わたし

そもそも、なぜ英語ではPeek-a-booと言うの?最初にpeekしてからbooだから?(←意味不明)

Well, that’s how it is. (そういうものだから。)

わたし

ブーーー!

まぁ、ネイティブ英語話者だからといって英語に関して何でも知っている訳ではないですよね。

もし、「日本語のいないいないばぁの最後の部分はなぜばぁなのか?」と聞かれても、私にはわかりません……。

言葉がどのように使われているのかを知っていても、語源学者などで無い限りその言葉の語源や成り立ちまでわざわざ調べないですよね。

ただ、母国語以外の言語を学ぶ際、丸暗記で単語を覚えるよりも何か他の情報と関連付けた方が覚えやすいし、記憶に残りやすいのではないかと個人的には考えています

その関連付けのプロセスの一つとして、単語の語源を調べてみるのもオススメです!(調べる作業に時間がかかると思いますので、テストや資格試験の直前は避けましょう!)

あの有名なキャラクターの英語名もBooだった!

最後に英語のBooに話を戻しますと、実は『モンスターズインク』以上に驚いたキャラクター名があります。

それは、任天堂の『マリオシリーズ』に登場するテレサの英語名もまさかのBooなのです!!

プレイヤーの背後から迫ってきて攻撃してくる、あの有名なオバケのキャラクターです。

今回は少し内容が長くなってしまいましたので、テレサの英語名については次回に続きます。