国連女性差別撤廃委員会 (Committee on the Elimination of Discrimination against Women= CEDAW)が2024年10月末に日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告を行ったというニュースがありましたね。
また、選択的夫婦別姓制度の実現を求める集団裁判は過去10年間に3回も行われていますし、英検準1級や1級のライティング予想問題でも夫婦同姓vs夫婦別姓というテーマが出てくるので、世論が分かれる話題の一つでもあります。
今回は、日本における国際結婚の場合の夫婦別姓と、選択的夫婦別姓について個人的に思ったことを含め、国際結婚を考えている方にとって少しでも役立つような情報をまとめてみました。
国際結婚の場合、基本的には夫婦別姓
民法第750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定めていますので、日本人が婚姻をしたら夫もしくは妻の名字のどちらかを名乗って夫婦同姓とすることを義務付けています。
しかし、この夫婦同姓の義務は、日本人同士の婚姻のみに適用されるので、外国人と婚姻をした日本人については、この義務は適用されず、夫婦別姓が原則となっています。
国際結婚が原則夫婦別姓である理由は、国際結婚が日本の戸籍法に触れないからだそうです。
日本人と婚姻した外国人についての戸籍は作られませんが、配偶者である日本人の戸籍に、その外国人と婚姻した事実と、外国人の氏名、生年月日、国籍が併せて記載されます。
外国人と婚姻をしたけど夫婦同姓にしたい!という方や、複合姓を選びたい!という方は別途、手続きを行う必要があります。
私の個人的な名字への思い入れ
私は割と珍しい名字だったので、子供の頃から自分の名字に愛着がありました。
(私と同じ名字を持つ人は、日本全国に約17,000人いるらしいです。ちなみに、日本で一番多いと言われる佐藤さんの人数は約1,813,000人だそうです。)
私の小中学生の頃のあだ名は名字が元になっていましたし、通っていた学校にも(自分の妹以外には)同じ名字の生徒はいませんでした。
下の名前(ファーストネーム)については、学年に(漢字は異なっていましたが)同じ名前の女の子が何人かいたので、より名字の方に自分のアイデンティティを強く感じていた気がします。
私には妹しかいない(男兄弟がいない)こと、父親は末っ子長男(姉が2人)であること、もし私と妹が結婚して名字を変更するとなったら、誰もこの名字を継がないので両親の代で終わってしまうのだと気付いたのは中学生の頃。
両親にそのことを話すと、「うちは分家だし、別に名字なんてどうでもいいよ!」と言われてしまいましたが、「私がこの名字を引き継ぎたい!」と思ってしまったんです。
後になって、この「名字を継ぎたい」という願望が、
「結婚するなら次男か三男!お付き合いの時点で長男は避ける!」
(↑長男は名字を変えてくれる可能性が低いだろうという憶測)
「私の名字になってくれる人を探すしかない!」といった制約(?) を生むことになるのでした。
※上記条件をクリアした人(東北出身の優しい次男)とお付き合いすることができましたが、約4年間のお付き合い後、「やっぱり男だから結婚後も名字変えたくない」と言われてお別れしました……
(まぁ、破局になったのは他にも理由があったからなんですけどね!)
その後、紆余曲折ありましたが、今の夫とアメリカで出会って、日本で結婚することになり、夫婦別姓を選ぶことができた為、「名字を引き継ぎたい」という願望が叶いました。
現在、夫婦2人で生活していますが、子供が産まれたら私の名字を継がせることになっています。
夫は快く同意してくれたので、ファーストネームについてはスペイン語由来の名前を付けるつもりでいます。(夫はラテン系アメリカ人なので、彼自身を含め親族みんなスペイン語の名前です。)

夫婦別姓で良かったこと3つ
個人的に夫婦別姓で良かったな~と思うことを3つご紹介します。
(その1) 自分の名字を変えなくて済んだ!
一番は、やはり思い入れのある自分の名字とこれからも共に生きていけると思えて嬉しかったです。
でも実は、夫との結婚が決まった時に、結婚してこれからも一緒にいられるという嬉しさから、
「この人の名字(Hernandez)になっても良いのかも?!」
と心が揺らいだ時期が一瞬ありました。
(長々と書いた自分の名字への思い入れはどうした?って感じですが……)
一瞬迷ったものの、私のファーストネームが欧米人っぽい名前なので、もし名字がHernandezになったら日本人かどうか名前だけだと見分けが付かなくなると心配になり、すぐに思い直しました!
(その2) 名字変更(名義変更)の手続きが一切無いので楽!
運転免許証、銀行口座、クレジットカード、携帯電話、保険関連、マイナンバーカード、社会保険関連、パスポートなど、平日に時間を作って、役所に名義変更に必要な書類(住民票など)を取りに行ったり、時間をかけて名義変更の手続きを行ったりしなくてよいので、面倒な手間を省けました。
無駄に有給休暇を使う必要が無かったので、ありがたかったです!
(その3) 離婚後の名字変更が無い!
この項目を書くかどうか少し悩みましたが、書くことにしました!夫婦別姓だと、もし今後、離婚することになったとしても名字の変更をする必要がありません。
国際結婚夫婦の離婚率は、日本人同士の夫婦の離婚率と比べると約15%ほど高いというデータがあるそうです。
(日本にいる国際結婚夫婦の2組に1組は離婚しているという計算になります。)
私たちもそのような結末にならないことを心から願っていますが、まぁ人生何が起きるかわからないですからね~。
夫婦別姓で困ったこと
今のところ、夫婦別姓で困ったことはありません。書類などに夫婦それぞれの名前を書く時などでも、「夫婦なのに名字が異なるのはなぜですか?」のような質問を受けたことは一切無いです。
夫の名字がカタカナ表記=外国人とパッと見でわかりやすいのもあるかもしれません。
(中国や台湾などの漢字圏の場合、どうなのかな?と一瞬考えましたが、氏名の漢字を見れば日本人名でないことがわかるので、きっと国際結婚夫婦だと気付きますよね。)
国際結婚をしたけど、夫婦同姓にしたい場合は?
夫婦別姓が原則となっている国際結婚ですが、もちろん国際結婚夫婦が夫婦同姓することも可能です。
日本人が姓を変更する場合と、外国人配偶者が姓を変更する場合で、それぞれ方法が異なっています。
日本人が外国人配偶者の名字を名乗る場合
婚姻後6ヶ月以内に市区町村役所に届け出れば外国人の名字に変更することも可能です。
ただし、6か月を過ぎてしまった場合、家庭裁判所へ申し立てを行い、変更の許可を得てから市区町村役所に届け出る必要があります。
外国人配偶者が日本人の名字を名乗る場合
(その1) 外国人配偶者の母国で名字を変更する
相手国の法律によって異なりますので、出身国の各担当機関HPなどをご確認ください。
(その2) 日本人の名字を通称として使用する
厳密に言ってしまうと夫婦同姓ではありませんが、一番手軽な方法であることに加え、身分証明時や日常生活でも利用することができます。
通称名の登録は、市区町村役所の住民窓口に通称名記載申出書を提出して行います。
(その3) 外国人配偶者が日本に帰化する
帰化=日本国籍を取得して日本人になるということなので、日本人と外国人の婚姻ではなく日本人同士の婚姻=夫婦同姓が義務ということですね。
ただし、帰化には様々な条件があるだけでなく、申請手続きにとても時間がかかり、そして日本は二重国籍を認めていないので、帰化した後に母国の国籍を失うことになります。
このようにデメリットも存在しますので、ご夫婦で慎重に話し合うのが良いと思います。

自分の名字と外国人配偶者の名字を併せて複合姓(ダブルネーム)にしたい場合
あまり一般的ではないかもしれませんが、混合姓(ダブルネーム)にすることで日本人の名字と外国人配偶者の名字の両方を名乗ることが可能です。クルム伊達公子さん(現在は伊達公子さん)が良い例ですよね!
混合姓を名乗るには、家庭裁判所へ申し立てを行い、許可を得てから市区町村役所に届け出る必要があります。
ちなみに、名字の順序はどちらが先でも大丈夫だそうです。
パターン(A) 外国人配偶者の名字+日本人の名字
パターン(B) 日本人の名字+外国人配偶者の名字

国際結婚夫婦の場合、子供の名字はどうなる?
子供の戸籍は、日本人の親の戸籍に記載されている氏が子供の姓になります。
戸籍が日本人の名字で登録されている場合
子供の両親が夫婦別姓であり、日本人の名字で戸籍を登録した場合、子供は日本人の名字になります。
または、子供の両親が夫婦同姓で日本人の名字を選び、日本人の名字で戸籍を登録した場合にも、子供は日本人の名字になります。
戸籍が外国人配偶者の名字で登録されている場合
子供の両親が夫婦同姓で外国人の名字を選び、外国人配偶者の名字で戸籍を登録した場合、子供は外国人配偶者の名字になります。
夫婦別姓だけど、外国人配偶者の名字を子供に継がせたい場合
上述の通り、夫婦別姓の場合は日本人の名字で戸籍が登録されるので、通常子供は日本人の名字になります。
もし、夫婦別姓を選んだけど子供に外国人配偶者の名字を継がせたい場合、新たに手続きが必要です。
家庭裁判所に申し立てを行い、氏の変更許可が下りた後に子供単独の戸籍を新しく作る必要があります。
(子供が複数いるときは、人数分の単独戸籍を作らなければいけないようです。)
海外では夫婦別姓はどうなのか?
婚姻後の夫婦同姓を義務付けている国は、なんと日本だけなのだそうです!法務省のウェブサイトにも記載があります。【選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について】
それでは、他国ではどうなのでしょうか?
選択的夫婦別姓が一般的となっている国が殆どですが、中国や韓国、フランスなどでは夫婦別姓が原則になっているようです。

(中国と韓国の2か国については、夫婦別姓に加え、子供は夫の名字を継ぐことが一般的なようですが、妻の名字を子供に継がせる場合もあるそうです。)
複合姓を認めている国も多く、私の夫によると特にラテン系アメリカ人、そしてラテンアメリカの国々では複合姓が一般的らしいです。
ちなみに夫も幼少期は複合姓を名乗っていたそうですが、お姉さんの「名字を短くしたい」という希望により、中学生の頃に姉弟一緒に改名手続きをして父親の姓のみに変更したと教えてくれました。
(確かに、ミドルネームも併せるから名前がかなり長い!でも、本人的には名字を変えたくなかったそうです。)
【夫の名前 Before】 ファーストネーム+ミドルネーム+父親の姓(Hernandez)+母親の姓(Tobar)
【夫の名前 After】 ファーストネーム+ミドルネーム+父親の姓(Hernandez)
「もし、複合姓同士のカップルが結婚したら、子供の名字はどうなるの?」と夫に質問したところ、お互いの父親の姓を子供の名字として使う場合が多いらしいです。
子供の名前 = ファーストネーム+ミドルネーム+父親の父方の姓+母親の父方の姓
日本で選択的夫婦別姓が認められない現状
2021年に実施された内閣府の「家族の法制に関する世論調査」によると、夫婦の名字の在り方に関する質問に対して以下のような回答率だったそうです。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」→27.0%
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」→42.2%
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」→28.9%
4年前の調査結果にはなりますが、世論的には夫婦同姓制度を支持する人が多いというのが日本の現状のようです。
夫の名字を選択する夫婦が圧倒的に多いという事実
内閣府の男女共同参画局ウェブサイトによりますと、2023年のデータでは、結婚して姓を変える人は女性が圧倒的に多く、全体の94.5%を占めており、男性が姓を変更したのは全体のたった5.5%だそうです。
名字を変えたくないと思っている女性の割合
また、私が興味深いと思ったのは、同ウェブサイト上にて公開されている「積極的に結婚したいと思わない理由について」というアンケートの結果です。
「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」と回答した人の割合が、20~39歳の独身女性は25.6%、40~69歳の独身女性は35.3%だったことです。
選択的夫婦別姓制度が認められれば、年々増加している生涯未婚率が減少する可能性もあるかもしれません。
個人的に選択的夫婦別姓に思うこと
私個人は選択的夫婦別姓に賛成です。夫婦同姓を選びたい人は夫婦同姓にすればいいと思いますし、夫婦別姓が良いと思う人は夫婦別姓を選べるようになれば良いと考えています。
あくまで個人的な考えを述べただけであり、選択的夫婦別姓に反対する方々と議論を交わしたり、この記事を読んで下さる方々の考えを改めるように促したりしたい訳ではありませんことを、ご了承いただけますと幸いです。
※アメリカ人夫との余談※
夫婦で選択的夫婦別姓制度について話をしていた時、

夫
日本は佐藤さんが一番多い名字なんだよね?
このまま夫婦同姓制度で毎年約95%の女性が名字を変え続けていたら、佐藤さんの人数がもっと増えていって、反対に珍しい名字は日本から無くなってしまうんじゃない?

わたし
(佐藤さんの増加はともかく) 確かに、1~3世帯しか存在しない珍しい名字は将来的に無くなってしまう可能性があるよね。
それまで、「珍しい名字が無くなる」という発想は私には無かったのですが、日本人の人口が減少していく中で、もしかしたらもう既に絶滅してしまった名字も残念ながらあるのではないでしょうか?
もし将来、選択的夫婦別姓制度が認められても、珍しい名字の存続にどれ程の効果が出るのか不明ではありますが、少しでもプラスに作用してくれたら良いなと思うのでした。