通訳、翻訳、英会話講師、客室乗務員、空港グランドスタッフ、ツアーガイド、ホテルのフロントやコンシェルジュ、インバウンド観光客の接客業、貿易関連または外資系企業など、日本国内において英語を使う仕事は数多くあります。
そのうちのほとんどが外国人とのコミュニケーション手段として英語を使用するのに対し、英会話講師は日本人を対象にしているという点で異なっています。
英会話講師、特に子ども英会話講師は昨今の少子化にも関わらず、グローバル化や小学校での英語教育の必修化などを理由に需要がある職業です。
そんな子ども英会話講師の仕事内容や注意すべき点などを筆者の個人的な勤務経験を元にお伝えしたいと思います。
これから就職活動をする学生の方、子ども英会話講師への転職をお考えの方にとって少しでも参考になれば幸いです。
(※本記事には広告が含まれております。)
子ども英会話講師として働くことになった経緯
私は、中学生の頃から英語が好きでした。大学では英文学を専攻し、卒業後は英語を使う職業に就きたいと考えていたので、就職活動における選択肢の一つが子ども英会話講師でした。
子どもたちと接することが好きでしたし、大学生の時に塾講師としてアルバイトをした経験を活かせるのではないかと思ったことが就職希望の主な理由です。
結局のところ、大学卒業後は国際物流企業に就職することになったのですが、病気をきっかけにして会社員を辞めた後、ハローワークで求人募集していた「〇ッピー〇ッズクラブ」(以下、某子ども英会話教室と記載)で子ども英会話講師として勤務することになりました。
(当時の私は体力的にフルタイムで働く自信がなかったので、パートで働くことにしました。)
研修期間の約2か月は最低賃金という点で少し残念でしたが、自分の希望する勤務時間(週2日からOK、一日あたり5時間程度)に合っていたこと、自宅から遠くないところに教室があること、時給も悪くなかったことが決め手でした。
某子ども英会話教室について
日本全国に約1,500ある子ども英会話教室なので、教室の看板や広告などを目にしたことがある方も多いのではないかと思います。
こちらの子ども英会話教室は、生徒の対象年齢が1才~高校生までと幅広く、ホームティーチャーのように講師の自宅ではなく教室でレッスンを行います。
教室は会社が契約した賃貸物件、アパートやマンションの一階にある一室であることが多い印象です。
通常、大人向け英会話教室は通勤帰りでも通いやすいよう立地が駅の近くにありますが、某子ども英会話教室は駅から離れた所に立地している場合がほとんどではないかと思います。
教室の近くにスーパーマーケットやドラッグストアなど広い駐車場を有しているお店があることが特徴で、保護者が生徒を車で送迎することを想定して教室の場所が決められているようです。
ホームティーチャーや他の英会話教室と大きく異なるのは、日本人講師と英語のネイティブスピーカー講師、両方のレッスンが受けられる点です。
英会話教室によってはネイティブスピーカー、もしくは英語以外が母国語の外国人講師がずっとレッスンを担当するところもありますが、某子ども英会話教室では、1か月のうち3週間は日本人講師、1週間は英語のネイティブスピーカー講師が担当するシステムになっています。
「子どもが英語で上手く質問できないので日本語で受け答えをしてほしい」
「英会話教室では英語だけでなく外国人講師から異文化も学んでほしい」
といった要望に応えられるのが良い点です。
講師のシフトはどんな感じ?
ネイティブスピーカー講師が担当する週は、日本人講師はシフトがありません。
その週を休みにしても良いですし、同じ地区にある他の教室に見学に行ったり、ヘルプで他の講師の代わりにレッスンを受け持ったりすることも可能です。
1つの教室に1人の講師(事務員などその他のスタッフは無し)という体制が基本になっていますので、いわゆるワンオペとなる点はホームティーチャーと同じです。
そして、正社員もしくは契約社員の場合、基本的には週5日、1教室の全てのレッスンを担当します。
パートの場合、担当する曜日のレッスンを全て担当し、その他の曜日は他のパート講師がレッスンを担当するような感じです。(教室によっては土曜日にレッスンがある場合があります。)
- 例その(1) その曜日の全てのレッスンを担当
- 火曜日 レッスン5コマ→5コマ全て同じ講師が担当
- (2コマを講師A、3コマを講師Bのように分担することはできない。)
- 例その(2) 曜日によるパート講師のレッスン分担
- 月曜日・火曜日のレッスン → 講師Aが担当
- 水曜日・木曜日・金曜日のレッスン→ 講師Bが担当
子ども英会話講師の主な仕事内容
某英会話教室の講師のおおまかな仕事内容・流れはこんな感じです。
レッスン前
・遅くともレッスンが始まる30分前に入室 (教室にあるタブレット端末にログイン)
・教室の掃除 (テーブルを拭く、床の掃除機かけ、トイレ掃除など)
・レッスンの準備 (レッスンで使用するフラッシュカードや教材の用意など)
・生徒の出迎え (教室に到着した生徒とコミュニケーションを取ったり、待ち時間中にやることを指示したりする)
レッスン
・レッスンとレッスンの間は15分の空き時間あり
・1つのレッスンが終わるごとに、保護者へ成果伝達*
*生徒を迎えにきた保護者の方へ連絡事項を口頭で伝えます。内容は、その日のレッスンで習ったこと、生徒たちの様子、宿題や小テストの範囲、イベントのお知らせなどです。
ただし、スケジュールが押してしまいレッスンを終える時間が遅くなる、保護者への連絡事項を伝えるのに時間がかかる、保護者との世間話が長くなる、といった事があると、すぐに次のレッスンに参加する生徒たちが来る時間になってしまいます。
その為、講師がトイレ休憩に行く時間は殆ど無いと思った方が良いかもしれません。
私の場合、トイレ休憩に行く余裕は全く無かったので、レッスン前に飲み物はあまり飲まないようにしていました。
全てのレッスン終了後
・欠席した生徒の保護者に電話連絡 (欠席の理由確認、レッスン内容と宿題・小テストの範囲の連絡など)
・教材等の片付け
・タブレット端末にレッスンレポートや生徒の出欠席情報などを入力
レッスンの30分前とレッスン後の15分は、レッスンの準備や保護者への対応時間ということで業務手当が出ます。
ちなみに、新人講師の場合は、しばらくの間レッスン前45分間分の業務手当付きます。
慣れている大ベテラン講師の場合にはこの時間内にレッスン準備やその他の業務を終わらせることができるのかもしれませんが、新人講師の場合は通常より15分長く設定されていても非常~に難しいです。
私は働き始めて半年以上経ってもこの時間内に終わらせることはできませんでした…… (勤務時間外の労働には、給与は一切出ませんのでサービス残業になってしまいます。)
慣れてきても、生徒の欠席が多いと電話連絡で時間がかかってしまうので、もう途中から時間内に終わらせようとするのを諦めてしまいました。
レッスン以外の出勤
某子ども英会話教室では、自分が担当するレッスン以外にもミーティング等の為に出勤しなければならない日がいくつかあります。
主要なのは、①月に1回開催される地区のミーティングと②新人講師が参加しなければならない新人研修の2つです。
開催場所は、普段のレッスンを行っている教室ではなく、同じ地区にある別の教室に行く場合が多いです。(おそらく教室のサイズによるものだと思われます。)
①毎月の地区ミーティングについて
開催時間
月に1回、平日の午前中から午後1時頃まで3~4時間程度
(その日のレッスンに間に合うように移動時間も考慮して時間が設定されています。)
参加者
同じ地区にある教室の全講師、エリアリーダー、エリアマネージャーが参加
ミーティング内容
・生徒の欠席率やイベント参加率など教室ごとに報告
・講師間の情報共有
・某子ども英会話教室が主催するプログラムなどに備えた模擬レッスン
(あらかじめ指名された講師が先生役、その他の講師は生徒役で練習)
・レッスンや保護者への対応(営業トーク含む)について合同練習
(先生役、保護者役、生徒役とローテーションで変えながらの練習)
会議というよりは、講師たちのトレーニングがメインの場になっているように思います。
ベテランから新人まで勤務歴に関係なく、他の講師たちの良いと思える点を参考にできますし、それを自分のレッスンにも上手く取り入れてブラッシュアップを目指せます。
このミーティングに参加している時間は勤務時間とみなされ、パート講師にはおおよそ最低賃金が適用されます。(レッスンの時給とは異なるので注意!)
私が所属していた地区はとても和やかな雰囲気で、休憩時間には講師たちが持ち寄ったお菓子を食べながら談笑していました。
②新人講師の研修
開催時間
1~2か月に1回、平日の午前中から午後1時頃まで3~4時間程度
参加者
入社してから2年未満の新人講師 (エリアリーダーが指導をします)
研修内容
・講師間の情報共有
・普段のレッスンの部分練習
・基本のフォニックスの確認や復習など
日頃のレッスンで上手くできないところ、不安に感じるところなどをエリアリーダーに相談したり、他の新人講師と一緒に練習したりすることができます。
パート講師には新人講師研修も地区のミーティングと同じくおおよそ最低賃金しか支払われません。

子ども英会話講師の服装
某子ども英会話教室の制服
一般的に英会話講師の服装はスーツという会社がほとんどだと思います。
一方、某子ども英会話教室の場合、会社からポロシャツが1枚貸出しされるので、トップはポロシャツ(寒い時はその上にカーディガンなどを羽織ってもOK)、ボトムスは黒やグレー、ネイビーなど落ち着いた色のパンツスタイルを自分で用意するといった感じです。
ポロシャツのカラーは複数あるので、自分の好きな色を選ぶことが可能です。
2枚目以降は会社から有料で買わなければならないので、何日も同じ服に袖を通すことに抵抗がある人はポロシャツの購入を検討した方が良いかもしれません。
あと、月1の地区ミーティングはスーツやフォーマルなジャケット着用というルールがありましたが、新人研修はレッスン時と同じ服装で参加するのが基本でした。
髪の色について
髪は染めていても大丈夫です。
髪色は明るすぎなければ問題無いようで、茶髪の講師の方は結構いました。
ネイルは現場によりけり
最初にオンラインで研修を受けた時、本社の方からは「マニキュアやジェルネイルはNG」と言われたのに、実際に現場で講師の方々にお会いするとジェルネイルをしている人が結構いたことにビックリしました。
エリアマネージャーが参加する月1の地区ミーティングでもジェルネイルの講師の方はそのまま参加していましたし、なんならエリアリーダーもジェルネイルをしていたので、責任者が寛容な地区はネイルのおしゃれも黙認されているのかもしれません。
採用試験ではどのくらいの英語力が求められるのか?
採用担当者に直接聞いた訳ではないのですが、私の研修を担当していたエリアリーダーの話によると概ね英検2級・準1級のレベルがあれば問題ないそうです。
私が受けたパート採用試験の内容は筆記テストと英語による面接で、どちらもオンライン対応、面接官は日本人の方でした。
筆記テストはTOEICの文法問題のような感じで、面接では「なぜ英会話講師になりたいのか?」という志望動機や、自分自身に関すること(趣味や職歴など) を英語で質問されました。
英語の面接と聞くと、「英語が流暢に話せないと講師にはなれないの?」と疑問に思うかもしれません。
あくまで私個人の経験になるのですが、ペラペラじゃなくても大丈夫だと思います!
と言うのも、エリアリーダー自身が英語をペラペラ話せない人だったからです。(←ネイティブスピーカー講師と日本人講師の懇親会で発覚しました。)
ただし、その方は留学経験者で英語の発音は上手だったので、流暢に英語を話せるけど発音がイマイチな人よりも、スピーキング力に自信がなくても英語の発音が得意な人の方が求められているのかなと思いました。
実際のレッスンでは、全てのレッスンにマニュアル(教案)があり、何を話すのかマニュアルに記載されています。
また、「静かにして」「ペアを作って」「ノートとテキストをカバンにしまって」など、レッスン中に生徒へ指示を出す場面で使用する英語表現は研修中に習いますので、スピーキングに多少不安がある方でも問題ないハズです。
英語の発音についての注意点
イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど北米以外の英語圏に留学経験がある方は特に注意なのですが、某子ども英会話ではアメリカ英語の発音を基本としています。
私はアメリカに約1年間仕事で滞在していたことがありましたが、発音については学生時代に短期留学をしたイギリスとニュージーランドの英語にかなり影響を受けています。
アメリカ英語特融のRの協調やflap T (waterやcityなどの tの発音)などは問題なくても、母音の発音の一つである「/æ/」(口の形を「エ」にして「ア」と発音する)は意識して話さないと難しかったです。
研修時に指摘され、直すのに少し苦戦しました。

英語力よりも保育力が必要?
幼児クラスには育児経験がある人の方が有利かもしれません。
1才から2才半までの親子レッスン(お子さんと親御さんが一緒に受けるレッスン)は、もしお子さんがレッスン中にグズって泣いてしまった場合、親御さんに対応をしてもらえます。
しかし、2才半以上のお子さんで親御さんと離れて約1時間のレッスンを受けるのはとても大変です。
その為、幼児が10人近くいるレッスンは、子どもの扱いに慣れていないと非常に苦労します。
「ママ~~~(泣)」と泣きわめく生徒を保護者からお預かりして、
ときには泣き止まない生徒を抱っこしてあやしたり、
教室の隅に逃げ出す生徒さんをレッスンに参加させるべく連れ戻したり、
「トイレ行きたい~」と緊急事態の生徒を途中でお手洗いに連れていったり……
予想外の出来事により講師1人でレッスンをスケジュール通りに進行させることが難しい場合も多くあります。
レッスン内容としてはアルファベットの発音や簡単な英単語(動物、色や物の名前など)がメインになるので、英語自体の難易度は低くても生徒対応の難易度がかなり高いと思います。
学習塾でのアルバイト経験は役に立つのか?
私の場合、あまり役には立ちませんでした。
私がアルバイトをしていた学習塾は、講師1名が生徒1~2名に教える個別授業だったので、基本的には生徒のペースに合わせて授業を進めていましたし、教え方は講師の自由だったのでマニュアル等がありませんでした。
テキストの問題を解く、生徒が学校の授業でわからなかったところを解説する、学校の定期テストの対策をするなど、基本的には生徒の要望に合わせて授業をしていました。
マニュアルに沿ったレッスンの提供とは異なるので、某子ども英会話教室の仕事では学習塾の経験をあまり活かせなかったです。
経験があって良かったと思えたのは、英文法で生徒がつまずきやすい箇所をある程度知っていたので、「ここは間違えやすいところだから気をつけてね」とアドバイスできたことくらいです。
個別指導ではなく、学習塾のクラス授業を受け持つなど集団指導の経験があった方が役に立ったかもしれません。
まとめ
個人的な経験を元に子ども英会話講師について思いつくことを書いてみましたが、いかがでしたか?
大変なことも多い仕事ですが、子どもたちの笑顔を引き出せた時や成長を目の当たりにする時には、すごくやりがいを感じられます。
もちろん、英会話教室を運営する会社よって方針やレッスン内容が異なるので、就職や転職をお考えの方は事前に色々と調べて比較をしてみた方が良いかと思います。
私の場合、約1年で某子ども英会話教室を退職しました。
その理由については次の記事で書いておりますので、興味のある方は是非こちらもご覧ください!


