前回の記事では、子ども英会話講師の主な仕事内容や注意すべき点など筆者の個人的な経験をお伝えしました。
私は、子ども英会話講師という仕事に「可愛い子どもたちと一緒に楽しく英語のレッスンをする」という理想を思い描いていました。
しかし、実際に働き始めてからは自分の理想と実際の業務内容に大きなギャップを感じてしまい、最終的には約1年で退職を選びました。
今回は、そんな私が〇ッピー〇ッズクラブ(以下、某子ども英会話教室)のパート講師を辞めた理由についてお伝えしようと思います。
子ども英会話講師の仕事に興味はあるけれど躊躇っている方、就職や転職で子ども英会話講師になることを検討中で、とにかく色んな情報を目にしておきたいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。
(※本記事には広告が含まれております。)
セールスも英会話講師の業務の一環だが苦手だった
公立の学校とは異なり、英会話教室はビジネスです。
生徒に入会してもらい、レッスンの継続に加えて季節のイベントなどに参加してもらうことによって、会社として利益を生み出さなければなりません。
一応、頭では理解しているのですが、どうしても某子ども英会話教室の会社方針に対して「そこまでしなきゃいけないの?」と納得できない気持ちが抑えられませんでした。
入会については、営業職が子どものいる家庭を訪問して体験レッスンの予約を取り付けてくるので、英会話講師が関わってくるのはその体験レッスンからになります。
勤務経験が2年未満の新人講師が体験レッスンを任されることは無い為、ここでは入会以外で講師が関わる営業(セールス)についてお伝えしようと思います。
セールス関連その(1) 年に2回開催される検定試験の申込み促進
某子ども英会話教室にはTECS検定という英語力を測る独自の児童英語検定試験があり、年に2回実施されます。
この検定でA判定を取得したからといって、TOEICや日本英語検定協会の英検のように履歴書に書けるものではありません。(TECS検定には合否の判定が無く、受験者の正答率によりABCの3段階で評価されます。)
もちろん、子ども英会話教室に通う生徒にとって「自分には現時点でどのくらいの英語力が身についているのか?」を数値として知るのは決して悪いことではありません。
ただ、某子ども英会話教室の会社方針としては年に2回、このTECS検定を受けてもらうことが前提になっているので、講師から保護者の方にTECS検定を申し込むようゴリ押しがあります。
この検定が無料だったら別に良いのですが、英会話教室の月額とは別に検定受験料の支払いが必要になるので、保護者の負担になります。
会社は「生徒に受験させるのが当たり前」というポリシーで、教室ごとに生徒の受験申し込み率が算出されます。
検定の申込み期間中には、毎日勤務先の教室に他教室と比較した申し込みの達成状況が記載されたFAXが送信されてくるんですよ……
今どきFAX?!ということも驚きですが、ノルマ達成に関しては教室ごとに判断されるので、講師が社員であろうがパートであろうが関係ないのにビックリしました。
ノルマを達成したからと言ってパート勤務の講師に何か見返りがある訳ではないので、まぁモチベーションは上がりませんよね。
(正社員や契約社員にはノルマ達成によるボーナスの支給があると思います。)
さらに、検定の申し込みを断った生徒の保護者にはその理由を聞いて、考えを改めるようにレッスン後に説得しなければなりません。
「TECS検定は申し込まない」と一度決めた保護者の方に、時間を割いてもらった上でセールストークをするのは申し訳ない気持ちになるので私は好きではありませんでした。
そして、検定を申し込むよう説得をしても断られた場合、「次回は必ず受験してくださいね」と保護者に念押ししなければならないのもセールスのしつこい感じがして嫌でした。
TECS検定以外にも某子ども英会話教室では講師がセールスをしなければいけない機会が多々あります。
別料金が発生するプログラムへの参加申込みや、週1回しかレッスンを受けていない生徒に他のクラスも併せて受講するよう勧めることも多いです。
保護者の方に対してだけで無く、「〇〇ちゃんも〇〇君もやっているからやろうよ!」と生徒をその気にさせて、いかにして子どもに「やりたい!」と保護者の前で言わせるか、みたいなセールス根性は私には無かったです。
営業職ではなく講師なのだから本来の仕事である英語のレッスンだけやりたいと何度も思ってしまいました。
セールス関連その(2) 辞めたいという生徒と保護者に対する退会の引き留め
「レッスンスタイルが合わなかった」
「英語が好きになれなかった」
「学習塾に通いたい」
「高校受験の勉強に集中したい」
「仲の良い友達が辞めてしまったから」
など、子ども英会話教室を辞めたい理由は生徒によって様々です。
もし、講師側が何かを改善することによって生徒の「辞めたい」という気持ちが変わるなら、退会を引き留めるのもアリかもしれません。
でも、それ以外の理由(生徒側の都合)により退会を希望する生徒と保護者を何週間にもわたってレッスン後や電話で説得して退会を取り止めさせるのは講師にとって非常に大変ですし、保護者の方にも迷惑だと思います。
生徒にも「先生またその話?」と怪訝な顔をされてしまったり、電話に出てもらえなかったりしたこともありました。
中3の生徒は高校受験を控えて学習塾に通うことが一般的だと思います。
某子ども英会話教室では、英検対策は若干レッスンに組み込まれていても、高校受験の対策になるようなレッスンの提供は行っていません。
せめて、レッスンで中学校の定期テスト対策ができれば、内申点のアップさせることで高校の推薦入試に役立てられるので説得材料にもしやすいかもしれませんが……
「高校受験の勉強に集中したい」という理由で生徒が退会を希望するのは自然なことだと思うので、その場合でも退会しないよう引き留める、難しければ一旦休会を勧めて受験が落ち着いたら戻ってきてもらうよう説得しなければいけないのが私にとっては苦痛でした。
「そこまでして生徒の退会を引き留めなければいかないのか?退会希望には理由や事情があるのだから、辞めさせてあげれば良いのに」
と思うのですが、これはあくまで私個人の考えであって、月1回ある講師の会議では絶対このような発言はできませんでした。
会議の場では、退会者の人数や理由を報告しなければいけないことに加え、イエロー会員と呼ばれる退会の可能性が高い生徒についてもエリアリーダーたちと情報を共有した上で、頻繁に保護者に電話したり、レッスン中は特にその生徒を気にかけて接したりして退会を防ぐ努力が必要とされました。
(欠席が続いていたり、レッスンに参加していてもやる気がなかったりする生徒がイエロー会員とみなされていました。)
某子ども英会話教室で働いていた時に悩ましかったこと
セールスが苦手というのが私の主な退職の理由でしたが、セールス以外にも「ここで働き続けるのは嫌だな」と思ってしまった点がいくつかあります。
その(1) 特性のある生徒たちの対応
セールスに関わる業務が苦手だったことだけでなく、小学3年~5年生12名の大人数クラスの担当も私の頭を悩ませるものでした。
「12名を大人数なんて言ったら学校の先生はどうなるの?」って思いますよね。 学校の先生方、本当に尊敬します。
学習障害の特性がある生徒、多動傾向がある生徒を含む、合計12名のクラスで私が実際に担当をして歯痒く感じた点を書いておきます。
(あくまで私が担当した生徒さんの話なので、学習障害の特性がある子どもや多動傾向がある子どもに必ず当てはまる訳ではございません。)
- 学習障害の特性がある生徒
- 会話クラスでは問題がないように見えても文法クラスではあまり理解が進まず、置いてけぼりになってしまう。
- レッスンの内容が分からないからつまらない、つまらないからやる気が出ない、やる気がでないから説明を聞
- こうとしなくなるという悪循環に……
その生徒にわかってもらえるよう丁寧に何度も説明をしているとレッスンの進行ペースが間に合わなくなるだけでなく、理解が速い生徒たちは退屈して手持ち無沙汰になってしまうことがしばしばありました。
文法問題を早く解き終わってしまった生徒たちには英単語を書く練習等の指示を出しますが、それを無視してテキストやノートに落書きをし始める生徒も……
生徒の人数が少なければ、すぐに気付いて注意することも容易いと思いますが、12人もいると問題の丸付け作業と文法の説明だけで手一杯になりがちでした。
- 多動傾向がある生徒
- レッスン中にじっとしているのが苦手で他の生徒にちょっかいを出したり、物をいじったりしてしまう。
- ちょっかいが原因で他の生徒から「一緒のペアになりたくない」「隣に座りたくない」などのクレームが
- 発生するので席順やペアでの会話練習では生徒同士の相性を考慮して決める必要があった。
多動傾向があるからという理由でその生徒の言動を大目にみていると、他の生徒から「なぜその生徒は許されるのか?特別扱いなんてズルい!」と不満につながってしまう。
多動傾向の特性について他の生徒の前で言及することは控えていましたので、生徒たちが特性を理解できる状況ではありませんでした。
もちろん、上記のような特性がある生徒は英会話教室に通わないでと言っている訳では決してありません!
しかし、単なる英会話講師として採用された立場からすると、特別なケアが必要な生徒の対応を細かに求められるのは少々酷であり、生徒にとっても「注意ばかりされる」「理解してもらえない」と講師に対する不満につながりやすいのが実情です。
もし、レッスンを受ける生徒が少人数だったら、もしくは講師2名体制だったら、一人一人の生徒に合わせてきめ細かい対応が出来るのですが、英会話教室は公立学校とは異なりビジネスな訳です。
最大人数の生徒数でレッスンスケジュールを組んだ方が講師の人件費の削減につながるので、特性のある生徒を考慮してわざわざ少人数に設定するなんてことは残念ながら某子ども英会話教室では不可能です。
「あらかじめ少人数制を売りにしている英会話教室や個別指導を行っている学習塾に通ってもらう方が生徒にとって良い環境なのでは?」
「月謝が多少割高になってしまっても生徒にとって得るものが大きく、英語力が伸びる方が保護者にとっても良いのでは?」
などと本音では思っていても、講師自らが生徒の退会を促すなど言語道断ですので、保護者に伝える訳にはいきません。
特性のある生徒さんに申し訳ない気持ち、そして英会話教室の方針にモヤモヤしながらレッスンをしていました。
その(2) 保護者からのクレーム対応
受け持った生徒の保護者は優しい方ばかりだったので、私は運が良かったと思います。
しかし、1人だけ注意して慎重に接していた保護者の方がいました。それは上述した多動傾向がある生徒さんの保護者の方です。
その他の保護者の方々には、「あの生徒さんにはそういう特性がある」と認知されていたようで、幸いにも「あの子のせいでうちの子がレッスンに集中できない!」といったクレームはありませんでした。
ただ、その特性を持った生徒の保護者からは「うちの子に対して講師がもっと配慮してくれないと困る!」とクレームが入ったことがあります。
レッスン後に直接言われた訳ではなく、某子ども英会話教室のお客様相談室宛てにクレームが入ったので、そのクレームはお客様相談室の担当者→エリアリーダー→レッスン担当講師の順に情報が回ってきました。
確かに、普段から顔を合わせている講師に面と向かって文句は言いにくいかもしれないので、電話越し且つ別の担当者に対してなら強く言いやすいだろうと思います。
ちなみに私が受けたクレーム内容は「講師がエアコンの設定温度を子どもの適温にセットしてくれない」というものでした。
毎回レッスンの時に生徒たちには「教室の温度は大丈夫?」と聞くようにしています。
でも、人数が多いと「暑いから設定温度を下げて」と言う生徒もいれば「寒いから設定温度を上げて」と言う生徒もいる訳です。
基本的には寒がっている生徒に合わせて温度を設定していました。
クレームにつながってしまった理由は、「うちの子は特性があるので、講師に対して自分から要望を伝えることができない。講師側がその点を配慮して行動するべき。」というものでした。
ただでさえレッスンで手一杯なのに特定の生徒に対して常に配慮しなければならない、それができないとクレームにつながる……講師の立場って辛いですよね……
私の担当地区のエリアリーダーは以前この生徒を受け持っていたことがあり、私の苦悩を理解してくれていたのでクレーム内容について責めることなく一緒に対応策を考えてくれました。
しかし、「その生徒が気に食わないことがまたあれば、保護者からクレームを入れられてしまう」という不安が常につきまとってストレスになってしまいました。
英会話講師に限らず、クレーム対応をしなければならない仕事は数多くありますが、ストレス耐性が無いとキツイと思います。
その(3) 膝が黒ずんでしまった
某子ども英会話教室にはローテーブルはあっても、椅子がありません。
教室によっては幼児用の小さな椅子はあります。
教室の床にはカーペットが敷いてあるのでその上に直に座って、ローテーブルにテキストやノートを置いてレッスンをします。
英会話のレッスン中、生徒は座りっぱなしではなく、英語の歌を歌ったりクイズなどのミニゲームをしたりする時には立ったり座ったりを繰り返します。(中学生以上のクラスになると基本座りっぱなしが多いです。)
講師も生徒と目線を合わせる為に、立つ・座るを繰り返します。その際に膝立ちをよくしていたら膝小僧がかなり黒ずんだ状態になってしまいました。
それに気付いてクッション付きの膝サポーターを付けるようにしたにも関わらず、多少マシになった程度で消えることはありませんでした……
退職してからは、膝立ちをしなくなったので膝の黒ずみが消えました!
今現在はミニスカートやショートパンツを履く年齢では無いので、膝が黒ずんでいようが全く問題はありませんが、膝上丈のファッションを楽しみたい方は要注意です。
まとめ
ネガティブな内容が多かったので、読んでくださった方の子ども英会話教室の講師に対する印象を悪くしてしまったかもしれません。
働いて良かったと思えることもたくさんありましたよ!子どもたちと一緒に笑い合える時間はとても楽しかったですし、学びをサポートするというやりがいもありました。
私は子ども英会話講師を続けることはできませんでしたが、英語が好きで尚且つセールストークが得意な方やストレス耐性に自信がある方、逆境であっても楽しみながら仕事ができるという方は長続きしやすいのではないかと思います。


