前回のエッセイ漫画では、英語のbeeはあくまで小さい蜂(ミツバチなど)を指す言葉であり、日本語の「蜂」のように総称としては使えないということをお伝えしました。

今回は、日本語の「はち」という言葉について日本語学習者であるカルロスから質問があったときのエピソードを漫画にしてみました。

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第10話 はちの字

個人ブログNippon-gurashiのエッセイ4コマ漫画第10話 はちの字 日本語版

(英語版はこちら)

日本語には同音異義語が多い

日本語は世界中の言語の中でも同音異義語(音が同じで意味の異なる語)が多い言語の1つだそうです。

4コマ漫画ではセリフのスペースの関係で省きましたが、「はち」という言葉には「鉢」もありますよね。

また、映画『ハチ公物語』のハリウッドリメイク版『HACHI 約束の犬』の欧米ファンは、日本語のはち =犬の名前だと認識しているかもしれません。

(ちなみに、リメイク版の映画では漢字の「八」が名前の由来だとわかる描写がちゃんとありました。)

日本語に同音異義語が多い理由はいくつかあります。主な理由は以下の通りです。

  • 理由その1 : そもそも母音が少ないため、子音+母音の組み合わせも少ないから。

  • 理由その2 : 中国からきた漢語に、声調(音節の中の高低・昇降の変化で語義を区別する機能)を無視して同じ音を適用したから。

  • 理由その3 : 和製漢語が漢字の音ではなく意味を重視して作られた言葉だから。

※和製漢語とは? 主に明治時代に西洋の概念や学術用語などを翻訳する際にできた造語です。

(この和製漢語のうち約1,000語が中国に逆輸入されて、現代中国語として使用されていると言われています。)

日本語学習者を悩ます同音異義語

雨と飴、柿と牡蠣、箸と橋などアクセントの高低が異なっているとわかりやすいのですが、アクセントも全く同じという同音異義語は非常に多いですよね。

例えば、科学と化学、私立と市立、移動と異動、成果・製菓・聖火・青果・生家・聖歌・生花…などです。

もちろん文字として書かれる場合には漢字を使いますので、意味は一目瞭然ですよね。

そして、会話の場合には、化学を「ばけがく」、私立を「わたくしりつ」と読み方を変えたり、状況で判断したり、他の言葉を補ったりするので、日本人同士の場合にはコミュニケーションに支障は出ないと思います。

(状況で判断とは、例えば、オリンピックの話題なので せいかリレー の「せいか」とは「聖火」のことを指しているとわかる、というようなことです。)

しかし、海外の日本語学習者にとって同音異義語はとても難易度の高い言葉です。

まず、にわか雨(にわか+雨)のように他の語が付け加えられるとアクセントの高低が変わるので、アクセントによって語を区別することはできません。

干し柿や生牡蠣のように、他の語が付け加えられると濁音に変化する場合も多いので、豊富な日本語のボキャブラリーや(日本の)一般的な知識が無いと状況による判断も難しいです。

日本語の学習って、日本語ネイティブスピーカーの私たちが思っている以上に大変です。

筆者のアメリカ人夫も日本語の勉強には苦労しています……

Episode – 10 Hachi

個人ブログNippon-gurashiのエッセイ4コマ漫画第10話 hachi 英語版

Episode 10に出てくる英語表現について

エッセイ漫画の中で使用されている英語表現について、英単語の意味や英文法の解説を記載しています。

both 〇〇〇 and △△△ の意味

英単語のboth単体には、形容詞、代名詞、副詞といった品詞がありますが、接続詞のandと一緒に使われると相関接続詞となります。

相関接続詞とは、接続詞(andやorなど)が副詞とペアになって、文法的に対等な語や句、節などを繋ぐ機能を持ったものです。

both 〇〇〇 and △△△ は、日本語で「〇〇〇も△△△も」・「〇〇〇と△△△の両方」という意味で使われます。

思い返せば、私が学校でこの表現を教わったときには、相関接続詞なんて言葉は聞かなかった気がします。both A and Bを丸暗記でした……。

その他の相関接続詞

both A and B 以外にも、相関接続詞と呼ばれる接続詞と副詞の組み合わせがいくつかあります。

相関接続詞日本語訳
either A or BAとBのどちらか・AまたはBのいずれか
neither A nor BAでもBでもない・AもBも~ない
not only A but also BAだけでなくBも・AのみならずBも
whether A or BAかBか・AであろうとBであろうと
not A but BAではなくB

筆者

相関接続詞の表現ってネイティブスピーカーの日常会話でも使われるの?

アメリカ人夫
カルロス

友人同士のカジュアルな会話では使わないけど、フォーマルな場面ではよく使われるよ。

筆者

あと、なんでneither A not B じゃダメなの?

アメリカ人夫
カルロス

ダメだね~。

neither ときたらnor。 That’s how it is. (そういうものだから。)

insect 【名詞】 の意味

日本語では、昆虫や虫 と訳されます。厳密に言うと、insectは脚が6本あって体が頭部・胸部・腹部に分けられる小さな生き物を指すようです。

つまり、蟻や蜂などの昆虫ですね。

ところが、少しややこしいことに、虫という意味で使われると蜘蛛やムカデなど脚が6本でない生き物も含まれます。

アメリカでは、insect(昆虫) = bug(虫) という感覚で、特に区別することなく使っている人も多いようなので、日常会話においてinsectとbugの違いはあまり気にしなくても良いのかもしれません。

中には、insectはフォーマルな会話、bugはカジュアルな会話で使うという人もいるそうです。(まぁ、フォーマルな会話で昆虫の話題になることはあまりないですよね…。)

名詞を並列するときの 冠詞 theの省略

漫画1コマ目では、”both the insect and number” (昆虫と数字の両方)という表現があります。

andでつながれる語や句は対等でなければならないという文法のルールがあるのに、なぜ the insect and the numberではないのでしょうか?

筆者

insectには冠詞のtheが付いているのに、numberにtheが付かないのはなんで?

アメリカ人夫
カルロス

もちろん、the insect and the numberと言っても文法的に間違いではないよ。

でも、英語で名詞を並列するときにはtheは最初の1つだけで良いんだ。

theを繰り返すよりも文章がすっきりして自然になるよ。

筆者

言われてみれば、大学受験勉強のときに塾の先生から習ったような気がするかも。

The bread and butter, the salt and pepper, the thread and needleとか。

pronounce 【動詞】 の意味

発音する という意味を持つ動詞です。 漫画2コマ目では受動態(受け身)で be動詞のare + 過去分詞形pronounced という形で使われています。

“Bee and eight are pronounced the same in Japanese.” を日本語に訳すと、

「蜂と八は日本語では同じように発音される。」となります。

pronounceの名詞はpronunciation(発音・発音の仕方)です。綴りがpronounciationではなくnとuの間のoが無くなりpronunciationになる点に注意です。

Don’t you ~? は否定疑問文

通常の疑問文では、主語と動詞の語順を逆にします。

漫画2コマ目のセリフにある “Don’t you know~?” のように、動詞 + notの短縮形 + 主語 となっている場合は否定疑問文と呼ばれます。

「~じゃないの?」・「~ではないのですか?」というように聞き手に対して確認をする意味でよく使われる表現です。

否定疑問文の詳しい説明などは、エッセイ漫画第9話(蜂に気をつけて!) のEpisode9に出てくる英語表現について の最後の方に記載がありますので、そちらもどうぞ♪ 

nectar 【名詞】 の意味

株式会社不二家さんのピーチ味のソフトドリンク、NECTAR(ネクター)と同じ綴り、同じ発音ですね。

そのため、ネクター = 商品名 だと私は長年思っていました。

英語のnectarには (ミツバチが集める)花の蜜・(絞ったままの)果汁 という意味があります。

漫画3コマ目では花の蜜であることを強調するために nectarの前にflowerを敢えて付け足していますが、nectar単体だけでも花の蜜を指します。

個人的に面白いと思ったのは、カタカナ語のネクターと英語のnectarの定義が異なっていることです。

デジタル大辞泉とオックスフォード現代英英辞典よりそれぞれ引用させていただきます。

ネクター [nectar]


(1) ギリシャ神話で、神々の飲む不老長寿の赤色の酒。ネクタル。


(2) 果実をすりつぶして作った植物繊維入りの濃厚なジュース。


『デジタル大辞泉』より


Nectar

noun [U]


1 a sweet liquid that is produced by flowers and collected by bees for making honey.

2 the thick juice of some fruits as a drink.


『Oxford Advanced Learner’s Dictionary 7th edition』より

※nounは名詞、[U]はUncountable (不可算名詞)という意味です。

デジタル大辞泉に記載されている「ギリシャ神話に登場するお酒」についてはオックスフォード英英辞典では記載がなく、オックスフォード英英辞典では代わりにミツバチが集める花の蜜のことが載っています。

ジュースという点は共通していますね!

each other 【代名詞】 の意味

お互い・相互 という意味の代名詞です。

eachとotherの間にスペースが存在するので、each(それぞれの)+ other (他人) と誤解してしまいそうですが、each otherで一つの意味を持ちます。

発音するときには eachとotherを繋げて読むので、ついついeachother とスペース無しで書いてしまうネイティブスピーカーもいるらしいです……

spin【動詞】 の意味

カタカナ語のスピンも「回転すること」という名詞の意味でよく使われていますよね。

(車が凍結路でスピンする、フィギュアスケートのスピン、テニスボールや卓球などでスピンをかけるなど。)

一方、英語のspinには動詞(自動詞と他動詞) と名詞の2つの品詞があり、漫画3コマ目では自動詞として使われています。

自動詞のspinには、クルクル回る という意味の他に、(頭が) くらくらする という意味もあります。

なぜスピンオフ?

映画やドラマ、漫画などで「スピンオフ作品」という言葉がよく使われますよね。

この場合のスピンオフとは、本編から派生した物語などのことです。本編ではわき役や敵役だったキャラクターを主人公にした作品も多いですよね。

特にディズニー映画やマーベル映画にスピンオフ作品が多いような印象があります。(マーベルに至っては、どれが本編でどれがスピンオフだか個人的にはもうわかりません。)

カタカナ語のスピンオフは英語のspin-offからきています。

spin-offは名詞で、波及効果・副産物・(テレビ番組などの)続編 という意味があります。

由来は、物が回転するとその遠心力で付着していた物体が離れることから、「派生的に生じたもの」 や「副産物」を意味するようになったらしいです。

around 【副詞】 の意味

aroundは様々な意味を持つ副詞・前置詞です。

副詞のaroundには 周りに・あちこちに という意味がありますが、漫画3コマ目では、ぐるぐると(くるくると) という意味の副詞として使われています。

aroundってroundという単語に似ていますよね。roundは形容詞・名詞・副詞・前置詞・動詞の5つの品詞がある多義語です。

aroundの由来は接頭辞のa (上や内側に接する) + 形容詞のround (丸い・円形の)だそうです。


接頭辞のa には、上述したもの以外に ~から離れる・~の方へ・否定・強調などの意味を持つものもあります。

関係副詞 whyの用法

疑問副詞のwhyは、なぜ~?と理由を尋ねる時に使うのに対して、関係副詞のwhyは、why以下の内容が理由などを詳しく説明する形になっています。

(reasonを先行詞とする場合、関係副詞のwhyは省略されることもあります。)

  • 例文その1 : This is why she became a vegetarian.
  • 例文その2 : This is the reason (why) she became a vegetarian.
  • 日本語訳 : これが彼女がベジタリアンになった理由です。 (= こういう訳で彼女はベジタリアンになりました。)

受動態(受け身)は be動詞+動詞の過去分詞形

Be動詞 + 動詞の過去分詞形 = 受動態 (受け身)です。

受動態と能動態(主語=動作主)で同じ内容の例文を比較してみるとこんな感じです。

  • 受動態の例文 : These insects are called hachi in Japanese.
  • (これらの昆虫は日本語で蜂と呼ばれています。)

  • 能動態の例文 : We call these insects hachi in Japanese.
  • (私たちはこれらの昆虫を日本語で蜂と呼びます。)

上記のような例文の場合、日常会話では受動態の方がよく使われているそうです。

英語のネイティブスピーカーにとっては、能動態の例文はドキュメンタリー番組や博物館での説明のような印象を受けるみたいです。

joke 【名詞】 の意味

名詞のjokeには、冗談・しゃれ などの意味があります。日本語でもカタカナで「ジョーク」と言いますよね。

日本語の冗談という言葉には、遊びや遊び半分で言う言葉やふざけた内容の話という意味がありますが、英語のjokeの場合は「相手を笑わせるために言ったり何かをしたりすること」と定義されています。

筆者

英語のjokeという言葉には相手を馬鹿にするようなネガティブな要素は無いの?

アメリカ人夫
カルロス

・・・場合によっては、あるよ。

筆者

結局はjokeを言う人によるんだね。

I see. の意味

動詞のseeには(~を)見る ・ (~に)会う という意味の他に、理解する という意味があります。

そのため、”I see.” は 「私は見る」ではなく、相槌としての「なるほど」「わかりました」という日本語訳になります。

なぜ見ることが理解することに繋がるのか疑問に思いませんか?

諸説あるようで、「(物理的に)見ればわかる」、「状況や相手の意図することが見える=理解する」というようなイメージから意味が拡張していったようです。

I see.はカジュアルな表現なのでビジネスの場では使わない方が良いと記載されている日本語のウェブサイトもあります。

カルロスの感覚では、「別に上司やお客さんに対して使っても失礼にはならない。」とのことでした。

ただ、I see.に比べて ”I understand.”の方がかしこまった言い方なので、よりフォーマルな表現を使いたい方は、I see.ではなく I understand.と言うのが良さそうです。