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日本語では小さなミツバチから人を刺す危険なオオスズメバチまで、一括りにという言葉を使いますよね。今回は昆虫の蜂という単語について、私が学んだ英語情報をお伝えしていきたいと思います。

日本語における蜂の定義

最初に、デジタル大辞泉の一部を引用させていただきます。


はち【x蜂】(xは常用漢字表にない漢字の場合に付けられた表記)


(1) 膜翅(まくし)目のうち、アリを除く昆虫の総称。二対の膜質の翅(はね)をもち、後ろ翅は小さく、前翅の後縁にかぎで連結される。(中略) 木の枝や軒先・地中などに巣を作り、花から蜜を集めたり他の昆虫を狩ったりする。社会生活を営むものでは、女王蜂・雄蜂・働き蜂などの階級があり、分業がみられる。ハナバチ・アシナガバチ・アナバチなど種類が非常に多い。

『デジタル大辞泉』(小学館)より

総称と書いてある通り、小さくても大きくても、針に毒があっても無くても、なんです。

学校で英語を習う時に、蜂=beeと教わりますよね。私は日本語と同じ感覚で、「英語のbeeも蜂の総称としてどんな種類の蜂もbeeと一括りに呼べる」と勘違いをしていました……

英語のbeeは蜂の総称ではない

夫が私の実家のガーデニングを見ていた時に、一匹のアシナガバチのような蜂が近付いていくのに気付きました。

とっさに「気を付けて!There’s a bee behind you!」と言ったのですが、アメリカなど英語圏ではbee = ミツバチなど花の蜜を食べる小さい蜂という認識しかないらしいのです。

小さな蜂を想定していた夫は、実際に近寄って来たのがちょっと大きめのアシナガバチだったため、ビックリしてパニックになりかけました。

Oh my god!!!!

(その場から逃げた後に) あれは、beeじゃなくてwasp!

わたし

えっ、waspもbeeの中の1種類じゃないの?

What? They’re different species!

Beeはbee、waspはwaspだよ!

わたし

つまり英語のbeeは蜂の総称じゃないってこと?!

夫には少し申し訳なかったのですが、この出来事のおかげで英語のbeeは日本語のような蜂の総称ではないということを初めて知ることができました。 (蜂の総称として、単にinsectやflying stinging insectと言っても良いようですが、一般的ではないそうです。)

英単語bee, wasp, hornetの違い

蜂の英語名をいくつか例として挙げてみます。

・ミツバチ honey bee
・クマバチ bumble bee
・アシナガバチ paper wasp
・オオスズメバチ Northern giant hornet
(オオスズメバチは、以前Asian giant hornetと呼ばれていたそうです。)

英語名ではbeeとwaspの他にhornetという言葉も出てきましたね。

それぞれの定義を『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』(Oxford University Press)から引用させていただきます。

bee noun 1

a black and yellow flying insect that can sting. Bees live in large groups and make honey. (= a sweet sticky substance that is good to eat) (2以下略)

wasp noun

a black and yellow flying insect that can sting.

hornet noun

a large wasp (= a black and yellow flying insect) that has a very powerful sting.

蜜を集める小さい蜂=bee、ちょっと大きい蜂=wasp、もっと大きい危険な蜂=hornetということですね。

本当に英語では上記の単語を使い分けているのか、夫やアメリカ人の友人に聞いてみたところ、専門家でも無い限り、ぱっと蜂を見ただけでwaspとhornetの違いはわからないので、どちらか思い付いた方の単語を使うそうです。

友人によると、「蜂の大きさを強調して言いたいと思えばwaspではなくhornetを使うと思うけど、一般的に耳にするのはwasp」とのことでした。


私だったら日本語で「大きい蜂」と言ってしまいますが、これをそのまま英語でbig beeと言ってしまうと「比較的大きめなミツバチやクマバチ」として英語話者には受け取られてしまうようです。

英語だと女王蜂は3通り、queen beeはミツバチの女王


日本語では、蜂の種類に関係なく体が大きい産卵能力がある雌のハチを女王蜂と呼びます。


女王蜂の英訳として、よくqueen beeという単語が使われると思いますが、これはあくまでミツバチの女王を指す言葉であり、蜂の種類が変われば呼び方も変わります。


私は全然聞き慣れないのですが、waspの女王蜂だったらqueen wasp、hornetの女王蜂だったらqueen hornetと言うそうです。

英語のウェブサイトを調べていたら、前後を逆にしてhornet queenという言い方もあるようだったので、夫に聞いてみたところ、「アメリカでは、人類に有益なミツバチ以外の蜂はどうでもいいから明確な決まりが無いんだよ」というジョーク(?)が返ってきました。

余談ですが、女王蜂と言えば日本の有名バンドの名前でもありますよね。

ファーストテイクで『火炎』と『メフィスト』を見てヴォーカリストのアヴちゃんの事を知りましたが、素晴らしい歌唱力ですよね!

バンドの英語名はQUEENBEEでも、「あの力強さはbeeじゃなくてhornetレベルなのでは?!」と思ったりもしましたが、hornetだと害虫要素が強いのでやっぱりqueen beeが最適なのでしょうね。

『どうぶつの森シリーズ』に出てくるハチの英訳は?


ゲーム『どうぶつの森シリーズ』をプレイしたことがある方は、すぐにわかると思うのですが、ゲーム内の木を揺するとアイテムや枝などの他に、ハチの巣が落ちて来ますよね。

その瞬間にハチから攻撃されるので、私はいつも虫取りネットを装備した状態で木を揺すっていました。

木を揺すって落ちてきたハチの巣のイラスト Nippon-gurashi

このハチですが、英語版である『Animal Crossing』シリーズではwaspと表示されています。このwaspを英和辞書などで調べるとスズメバチと訳されることが多いのですが、逆にスズメバチの英訳を調べると、和英辞書によって異なるみたいです。

・waspではなくhornetと記載
・waspとhornetの両方を記載

私がいつもお世話になっている『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)でスズメバチと引いてみると、“a vespine wasp; a hornet; a yellow jacket”と記載されていました。(yellow jacketは北米に生息するwasp一種です。)

「筆者はwasp=大きい蜂、hornet=もっと大きい危険な蜂と書いていたのに!結局スズメバチはwaspなの?hornetなの?」と混乱してしまいますよね。

英単語を調べていた時、私も混乱しました。そこで、改めて日本語のスズメバチという単語について調べてみると、膜翅目スズメバチ科スズメバチ亜科の総称であることがわかりました。

クロスズメバチ(wasp)も、オオスズメバチ(hornet)も同じスズメバチ科スズメバチ亜科に属しているので、総称であるスズメバチだけを英語にしようとするとwaspとhornetの両方が当てはまることになるのですね!

まとめ

日常英会話で蜂について話す機会は滅多にないかと思いますが、もし、外国人観光客に対して大きな蜂について注意を促したり、観光地などでスズメバチの注意書きを英語で書いたりする際には、beeの代わりにwaspやhornetを使って下さいね!